1.悲しき口笛

作詞:藤浦洸
作曲:万城目正

丘のホテルの 赤い灯も
胸のあかりも 消えるころ
みなと小雨が 降るように
ふしも悲しい 口笛が
恋の街角
露地の細道 ながれ行く

いつかまた逢う 指切りで
笑いながらに 別れたが
白い小指の いとしさが
忘れられない さびしさを
歌に歌って
祈るこころの いじらしさ

夜のグラスの 酒よりも
もゆる紅色 色さえた
恋の花ゆえ 口づけて
君に捧げた 薔薇の花
ドラのひびきに
ゆれて悲しや 夢とちる


2.東京キッド

作詞:藤浦洸
作曲:万城目正

歌も楽しや 東京キッド
いきでおしゃれで ほがらかで
右のポッケにゃ 夢がある
左のポッケにゃ
チューイン・ガム
空を見たけりゃ ビルの屋根
もぐりたくなりゃ マン・ホール

歌も楽しや 東京キッド
泣くも笑うも のんびりと
金はひとつも なくっても
フランス香水 チョコレート
空を見たけりゃ ビルの屋根
もぐりたくなりゃ マン・ホール

歌も楽しや 東京キッド
腕も自慢で のど自慢
いつもスイング ジャズの歌
おどるおどりは ジタバーク
空を見たけりゃ ビルの屋根
もぐりたくなりゃ マン・ホール


3.越後獅子の唄

作詞:西条八十
作曲:万城目正

笛にうかれて 逆立ちすれば
山が見えます ふるさとの
わたしゃ孤児(みなしご) 街道ぐらし
ながれながれの 越後獅子

今日も今日とて 親方さんに
芸がまずいと 叱られて
撥でぶたれて 空を見あげれば
泣いているよな 昼の月

うつや太鼓の 音さえ悲し
雁が啼く啼く 城下町
暮れて恋しい 宿屋の灯
遠く眺めて ひと踊り

ところ変れど 変らぬものは
人の情の 袖時雨
ぬれて涙で おさらばさらば
花に消えゆく 旅の獅子


4.私は街の子

作詞:藤浦洸
作曲:上原げんと

わたしは街の子 巷の子
窓に灯が ともる頃
いつもの道を 歩きます
赤い小粒の 芥子の花
あの街角で ひらきます

わたしは街の子 巷の子
なんで灯が 恋しやら
いつもの歌を 歌います
柳落葉が ひらひらと
赤いリボンに つもります

わたしは街の子 巷の子
ついた灯が また消えりゃ
いつもの人に 出逢います
今は恋しい 母様に
うしろ姿も そっくりな


5.ひばりの花売娘

作詞:藤浦洸
作曲:上原げんと

花を召しませ ランララン
愛の紅ばら 恋の花
もゆる心の ささやきか
恋のそよ風 ゆらゆらと
ゆれてはずかし 赤いばら
花を召しませ ランララン
召しませ紅ばら 恋の花

花を召しませ ランララン
白いミモザは 夢の花
ぬれた心の 愛の露
月の光か ささやきか
丘のチャペルの 鐘の音が
花を召しませ ランララン
召しませミモザは 愛の花

花を召しませ ランララン
乙女やさしい チューリップ
赤白黄色と とりどりの
レビューまくぎれ 千代紙や
なげたテープの うつくしさ
花を召しませ ランララン
召しませやさしい チューリップ

花を召しませ ランララン
花は散るもの しぼむもの
咲いた思いの はなびらに
夢があるうち いまのうち
愛(いと)しお方に 捧げなさい
花を召しませ ランララン
召しませ なさけの花束を


6.あの丘越えて

作詞:菊田一夫
作曲:万城目正

山の牧場の 夕暮に
雁が飛んでる ただ一羽
私もひとり ただひとり
馬(アオ)の背中に 眼をさまし
イヤッホー イヤッホー

お花畑の まひるどき
百舌が鳴いてる 雲の上
私はひとり ただひとり
遠い都を 思い出し
イヤッホー イヤッホー

山の湖 白樺の
影が揺らめく 静けさよ
私はひとり ただひとり
恋しい人の 名を呼んで
イヤッホー イヤッホー

山の牧場の 星の夜
風に揺れてる 灯は
私とおなじ ただひとり
泣けば悲しい 山彦が
イヤッホー イヤッホー
イヤッホー イヤッホー


7.リンゴ追分

作詞:小沢不二夫
作曲:米山正夫

リンゴの花びらが 風に散ったよな
月夜に月夜に そっと え―――
つがる娘は ないたとさ
つらい別れを ないたとさ
リンゴの花びらが 風に散ったよな
あ―――

お岩木山のてっぺんを
綿みてえな白い雲が
ポッカリポッカリながれてゆき
桃の花が咲き さくらが咲き
そっから早咲きの、リンゴの花ッコが咲くころは
おらだちのいちばんたのしい季節だなや―
だども じっぱり無情の雨こさふって
白い花びらを散らすころ
おら あのころ東京さで死んだ
お母ちゃんのことを思い出して
おら おら……

津軽娘は 泣いたとさ
つらい別れを 泣いたとさ
リンゴの花びらが 風に散ったよな
あ―――


8.お祭りマンボ

作詞:原六朗
作曲:原六朗

私のとなりのおじさんは
神田の生まれで チャキチャキ江戸っ子
お祭りさわぎが大好きで
ねじりはちまき そろいのゆかた
雨が降ろうが ヤリが降ろうが
朝から晩まで おみこしかついで
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
景気をつけろ 塩まいておくれ
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
ソーレ ソレソレ お祭りだ

おじさんおじさん大変だ
どこかで半鐘が なっている
火事は近いよ スリバンだ
何をいっても ワッショイショイ
何をきいても ワッショイショイ
ワッショイワッショイ
ワッショイワッショイ
ソーレ ソレソレ お祭りだ

そのまた隣の おばさんは
浅草育ちで チョッピリ美人で
お祭りさわぎが 大好きで
意気な素足に しぼりのゆかた
雨が降ろうが ヤリが降ろうが
朝から晩まで おかぐら見物
ピーヒャラピーヒャラ
テンツクテンツク
おかめと鬼が
ハンニャとヒョットコが
ピーヒャラピーヒャラ
テンツクテンツク
ソーレ ソレソレ お祭りだ

おばさんおばさん 大変だ
おうちは留守だよ からっぽだ
こっそり空巣が ねらってる
何をいっても ピーヒャラヒャ
何をきいても テンツクツ
ピーヒャラピーヒャラ
テンツクテンツク
ソーレ ソレソレ お祭りだ

お祭りすんで 日が暮れて
つめたい風の 吹く夜は
家を焼かれた おじさんと
ヘソクリとられた おばさんの
ほんにせつない ためいきばかり
いくら泣いても かえらない
いくら泣いても あとの祭りよ


9.津軽のふるさと

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

りんごのふるさとは
北国の果て
うらうらと 山肌に
抱(いだ)かれて 夢を見た
あの頃の想い出 あゝ
今いずこに
りんごのふるさとは
北国の果て

りんごのふるさとは
雪国の果て
晴れた日は 晴れた日は
船がゆく 日本海
海のいろは 碧く あゝ
夢は遠く
りんごのふるさとは
雪国の果て
あゝ津軽の海よ山よ
いつの日もなつかし
津軽のふるさと


10.ひばりのマドロスさん

作詞:石本美由紀
作曲:上原げんと

船のランプを 淋しく濡らし
白い夜霧の ながれる波止場
縞のジャケツの マドロスさんは
パイプ喫かして
アー タラップのぼる

左様ならよと つぶやくように
咽ぶ汽笛は 別れの合図
誰のかたみか マドロスさんの
粋なマフラー
アー 夜風になびく

泣いちゃ巻けない 出船の錨
さすが男よ 笑顔で巻いて
港離れる マドロスさんは
切れたテープに
アー 名残を惜しむ


11.日和下駄

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

日和下駄 日和下駄
何処へ行きゃるか
露地のほそみち カラコロと
通りがけかよ カラコロと
下駄をならして
思わせぶりな 思わせぶりな
わたしゃ ちょっくら願かけに
観音様へ 願かけに
今日は縁日 御命日
ねがいをかなえて
下しゃんせ 下しゃんせ
お待ちなさい お待ちなさい
それじゃ私も
そこまで一緒に 参りましょう
ついでに拝んで 参りましょう
いわしの頭も
信心からだよ 信心からだよ
春は日和よ 花なら見頃
チョイト見交す 顔と顔
何故か気になる エーあの素振り
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラコロ
おっと危ない そこは水溜り

日和下駄 日和下駄
おっとしまった
赤い鼻緒が 切れました
どうぞわたしに つかまって
二人一緒に
お詣りしましょ お詣りしましょ
いえいえそれじゃ はずかしい
人目もあろうと 言うものよ
どうぞわたしに かまわずに
一と足お先へ
行かしゃんせ 行かしゃんせ
何としょう 何としょう
それじゃ私が
鼻緒を立てて 上げましょう
古い鼻緒は お捨てなさい
切れた鼻緒は
縁起がわるいよ 縁起がわるいよ
春は日長よ 御縁日ゃ遠い
チョイトはずかし 肩と肩
いつか物言う エー眼差しが
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラ
カラコロカラコロカラコロカラコロ
おっと危ない 横丁の黒犬よ


12.娘船頭さん

作詞:西條八十
作曲:古賀政男

娘十八 口紅させど
わたしゃ淋しい 船頭むすめ
燕来るのに 便りも無くて
見るはあやめの ヨウ 花ばかり

想いそめたは 鹿島のまつり
おまえゆかたで わたしは島田
祭太鼓に 櫓拍子あわせ
漕いだあの夜の ヨウ 天の川

鐘が鳴ります 潮来の空で
月に墨絵の 十二の橋を
漕いで戻れど 別れたひとと
水のながれはヨウ 返りゃせぬ


13.あの日の船はもう来ない

作詞:西沢爽
作曲:上原げんと

あの日の船は もう来ない
帰るあてない ひとなんか
待って波止場に
来たんじゃないさ
むかし馴染の
鴎があたしの ともだちなのさ

岬に消えた 船の影
泣いたあたしは うぶだった
そんなむかしの 思い出のこる
ひとりぼっちの
波止場がかなしい ふるさとなのさ

テープをどんなに つないでも
切れた縁(えにし)を なんとしょう
みんな夢だと あきらめながら
風の便りを
そっと鴎に きいてるだけさ


14.ひばりの三度笠

作詞:関沢新一
作曲:万城目正

粋な振り分け 一本刀
つばめ見惚れる 旅人姿
誰の為かよ すみれを摘んで
旅で御座ンす 三度笠

伊那の白梅 鶯むすめ
咲いたからとて 泣かずにおくれ
添うに添えなきゃ あきらめました
旅で御座ンす 三度笠

西は夕焼 東はしぐれ
笠で占う 小夜町はずれ
馬鹿を承知で あの山越えて
旅で御座ンす 三度笠


15.素敵なランデブー

作詞:原六朗
作曲:原六朗

私の好きな あの人が
昼の休みに 言いました
いつもの所 いつもの様に
あなたの来るのを 待っている
ランランランラン ランデブー
ランランランラン ランデブー
若い心 弾む今宵 囁くは

アイアイアイアイ アイラブユー
ユーユーユーユー ユーラブミー
若い命 燃やす今宵
ランラン ランデブー

そぼ降る雨の たそがれは
静かな路地の 喫茶店
甘いレモンの 香りの様な
とても素敵な 夜でした
ランランランラン ランデブー
ランランランラン ランデブー
若い心 弾む今宵 囁くは
アイアイアイアイ アイラブユー
ユーユーユーユー ユーラブミー
若い命 燃やす今宵
ランラン ランデブー

貴方の好きな あの人が
昼の休みに ささやいた
いつもの所 いつもの様に
あなたの来るのを 待っている
ランランランラン ランデブー
ランランランラン ランデブー
若い心 弾む今宵 囁くは
アイアイアイアイ アイラブユー
ユーユーユーユー ユーラブミー
若い命 燃やす今宵
ランラン ランデブー


16.ひばりのチャチャチャ

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

さあさ歌えよ みんなで歌えよ
あなたもわたしも チャチャチャ
調子合わせて 拍子揃えて
小鳥がスケート する様に
チャチャチャうたえば こゝろは弾むよ
あなたもわたしも チャチャチャ
さあさ踊れよ 皆でおどれよ
リズムにのって
チャチャチャ 踊りましょう
チャチャチャ 歌いましょう
ホラ玩具の 楽隊 ラッタッタ
ソラウインナワルツは ブンチャチャ
ホラ田舎の機関車 シュッポッポ
ソラ景気をつけましょう
チャチャチャ歌えば 心ははずむよ
あなたもわたしも チャチャチャ
さあさ踊れよ みんなで歌えよ
リズムに のって

あの子も音痴よ この子も音痴よ
調子をはずして チャチャチャ
あばたもえくぼよ 音痴は愛嬌
調子ぱずれは いい度胸
チャチャチャ歌えば こころは弾むよ
あなたもわたしも チャチャチャ
さあさ踊れよ みんなで歌えよ
リズムにのって
チャチャチャ 踊りましょう
チャチャチャ 歌いましょう
ホラ鳴らないギターは ビンビンビン
ソラ空のタクシー ブーブーブー
ホラ兎は寝すぎて ピョンピョンピョン
ソラ景気をつけましょう

チャチャチャ歌えば 心ははずむよ
あなたもわたしも チャチャチャ
さあさ踊れよ みんなで歌えよ
リズムにのって
チャチャチャ 踊りましょう
チャチャチャ 歌いましょう
ホラ鳴らないギターは ビンビンビン
ソラ空のタクシー ブーブーブー
ホラ兎は寝すぎて ピョンピョンピョン
ソラ景気をつけましょう
チャチャチャ歌えば 心ははずむよ
あなたもわたしも チャチャチャ
さあさ踊れよ みんなで歌えよ
リズムにのって チャチャチャ


17.港町十三番地

作詞:石本美由起
作曲:上原げんと

長い旅路の 航海終えて
船が港に 泊る夜
海の苦労を グラスの酒に
みんな忘れる マドロス酒場
ああ港町 十三番地

銀杏並木の 敷石道を
君と歩くも 久しぶり
点るネオンに さそわれながら
波止場通りを 左にまがりゃ
ああ港町 十三番地

船が着く日に 咲かせた花を
船が出る夜 散らす風
涙こらえて 乾杯すれば
窓で泣いてる 三日月様よ
ああ港町 十三番地


18.浜っ子マドロス

作詞:星野哲郎・補作詞:石本美由起
作曲:船村徹

船の汽笛を 子守の唄に
聞いて育った 鴎だよ
まるで散歩に 出かけるように
笑って錨を 巻いた人
でもさ 人情もろくてよ
そこが浜っ子 マドロスなのさ

赤いつぼみの 夾竹桃を
胸のジャンパーに 挿してたよ
まるでセンチな 乙女のように
優しい心の あるお人
でもさ しんは強くてよ
そこが浜っ子 いいとこなのさ

辛い別れの メリケン波止場
シュンと胡弓も 泣いてたよ
まるで明日にも すぐ帰るよに
あっさり手を振り 消えた人
でもさ 男らしくてよ
そこが浜っ子 マドロスなのさ


19.長崎の蝶々さん

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

肥前長崎 港町
異人屋敷の たそがれは
何故かさびしい 振袖人形
恋の絵日傘 くるくると
蝶々さん 蝶々さん
桜の花が 咲く頃に
お船がかえって 来ると言う
花のロマンス
長崎 長崎 長崎 港町

風は南の 夢の町
晴れた天主(くるす)の 丘の上
背伸びして見る はるかな海よ
三本マストは 未だ見えぬ
蝶々さん 蝶々さん
花は咲いても 開いても
恋しいお方に 逢うまでは
花のロマンス
長崎 長崎 長崎 夢の町

鐘がなるなる 恋の町
広い屋敷に ただ一つ
君が形見の アメリカ人形
碧い瞳の なつかしさ
蝶々さん 蝶々さん
長いまつげも うっとりと
今日もあなたの 夢を見る
花のロマンス
長崎 長崎 長崎 恋の町


20.江戸の闇太郎

作詞:西條八十
作曲:古賀政男

月に一声 ちょいとほととぎす
声はすれども 姿は見えぬ
おれも忍びの 夜働き
どっかり抱えた 千両箱
こいつァ宵から 縁起がいいわい
ヘンおいらは黒頭巾
花のお江戸の 闇太郎

風に稲穂は あたまをさげる
人は小判に あたまをさげる
えばる大名を おどかして
さらう小判は 涙金
おつな商売 やめられましょうか
ヘンおいらは黒頭巾
花のお江戸の 闇太郎

江戸の盛り場 猿若町に
ひいき役者の 幟があがる
あだな笑くぼに 雪の肌
女泣かせの 雪之丞
こいつァ今夜も
行かざぁなるめえな
ヘンおいらは黒頭巾
花の お江戸の闇太郎


21.三味線マドロス

作詞:高野公男
作曲:船村徹

波の小唄に 三味線弾けば
しゃれた奴だと 仲間が笑う
陸(おか)が恋しさに ついつい負けて
呼べば未練が 呼べば未練が
エーエー 夜霧にとけたよ

青い月夜にゃ 泪(なみだ)で弾いた
破れ三味線 あの娘の形見
情あったなら 男の胸を
帰る鴎(かもめ)よ 帰る鴎よ
エーエー 伝えておくれよ

なれぬ手つきで しみじみ聞かしゃ
荒れた心も ほろりと泣ける
無事か達者でか 淋(さび)しいえくぼ
辛い想いも 辛い想いも
エーエー しばしの事だよ


22.花笠道中

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

これこれ 石の地蔵さん
西へ行くのは こっちかえ
だまって居ては 判らない
ぽっかり浮かんだ 白い雲
何やらさみしい 旅の空
いとし殿御の こころの中(うち)は
雲におききと 言うのかえ

もしもし野田の 案山子さん
西へ行くのは こっちかえ
だまって居ては 判らない
蓮華たんぽぽ 花盛り
何やら悲しい 旅の空
いとし殿御の こころの中は
風におききと 言うのかえ

さてさて 旅は遠いもの
田舎の道は つづくもの
そこでしばらく 立ち止まる
流れて消える 白い雲
やがて蓮華も 散るだろう
いとし殿御と 花笠道中
せめて寄り添う 道の端


23.べらんめえ芸者

作詞:西條八十
作曲:米山正夫

客だ客だと 笑わせやがら
玉代返せば ポチポチだ
手前勝手に 酔わせておいて
トラになったが なぜ悪い
ササ なぜ悪い

生きた歌舞伎を ぜひ演(や)りたさに
堅気の娘が 左褄
金じゃなびかぬ 芸者の意気地
見せてあげよか 目の薬
ササ 目の薬

通る湯島に 鳥居はあれど
小粋なお蔦は もう居無い
やけでガブ呑み べらんめえ芸者
泣いておくれよ お月さん
ササ お月さん


24.初恋マドロス

作詞:西沢爽
作曲:遠藤実

霧のむこうの 桟橋で
やがて出船の ドラが鳴る
泣くだけお泣き 泣くだけお泣き
一夜かぎりの マドロスだもの
泣いて 泣いて忘れて
くれるならヨー

「さあ 涙をふきなよ
ちょっとだけでも笑顔を見せておくれ
ほら 俺だって笑ってるじゃないか
惚れてんなら、笑顔で別れるもんだって
誰かがいってたぜ
でもなあ、テープの最後の一本が
ぷっつりと切れたときは
想わず海にとび込みそうになったぜ
あの娘がいじらしくってなァ」

海でそだてば 鴎さえ
海へ帰るが 本当さ
忘れちまいな 忘れちまいな
別れテープが ちぎれるように
もとにゃ もとにゃ戻らぬ
二人ならヨー

波や嵐は 平気だが
恋の涙にゃ 弱かった
せつないもんさ せつないもんさ
そっと降りなよ 港の夜霧
つらい つらいこころが
わかるならヨー


25.哀愁波止場

作詞:石本美由起
作曲:船村徹

夜の波止場にゃ 誰あれもいない
霧にブイの灯 泣くばかり
おどま盆ぎり盆ぎり
盆からさきゃ おらんと
あの人の 好きな歌
波がつぶやく 淋しさよ

「ああ 今夜もブイの灯が
冷たい私の心のように
うるんでいる
あの人のいない港は
暗い海の波のように淋しいわ
あの人がいつも唄った歌が
今夜も私を泣かすのね」

三月待っても 逢うのは一夜
恋も悲しい 波止場町
五ッ木くずしは
しんから 泣けるよ
思い出の 滲む歌
耳に残って 離れない


26.車屋さん

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

ちょいとお待ちよ 車屋さん
お前見込んで
たのみがござんす この手紙
内緒で渡して 内緒で返事が
内緒で来るように
出来ゃせんかいな
エー 相手の名前は
聞くだけ野暮よ
唄の文句に あるじゃないか
人の恋路を 邪魔する奴は
窓の月さえ 憎らしい
エー 車屋さん

それでどうしたの 車屋さん
お前さっぱり
お役に立たない お人柄
内緒で渡して 内緒の返事が
内緒で来たのに
何処へやったのさ
エー 忘れて来るとは
そりゃあんまりよ
唄の文句に あるじゃないか
あてにならない お人は馬鹿よ
あてにする人 もっと馬鹿
エー 車屋さん


27.鼻唄マドロス


28.ひばりの渡り鳥だよ

作詞:西沢爽
作曲:狛林正一

じれったいほど あの娘のことが
泣けてきやんす ちょいと三度笠
逢うに逢えぬと 思うほど
逢いたさつのる 旅の空
ほんになんとしょ 渡り鳥だよ

投げて占なや あの娘のもとに
飛んで帰れと ちょいと賽のかず
惚れた弱味の うらの裏
賽の目までが お見通し
ほんになんとしょ 渡り鳥だよ

雪の佐渡から 青葉の江戸へ
恋を振り分け ちょいと旅合羽
意地と喧嘩にゃ 負けないが
あの娘が おれの泣きどころ
ほんになんとしょ 渡り鳥だよ


29.ひばりの佐渡情話

作詞:西沢爽
作曲:船村徹

佐渡の荒磯の 岩かげに
咲くは鹿の子の 百合の花
花を摘み摘み なじょして泣いた
島の娘は なじょして泣いた
恋は……つらいと
いうて泣いた

波に追われる 鴎さえ
恋をすりゃこそ 二羽で飛ぶ
沖をながめて なじょして泣いた
島の娘は なじょして泣いた
逢えぬ……お人と
いうて泣いた

佐渡は四十九里 荒海に
ひとりしょんぼり 離れ島
袂だきしめ なじょして泣いた
島の娘は なじょして泣いた
わしも……ひとりと
いうて泣いた


30.哀愁出船

作詞:菅野小穂子
作曲:遠藤実

遠く別れて 泣くことよりも
いっそ死にたい この恋と
うしろ髪ひく 哀愁出船
涙かみしめ ゆく潮路

こんな冷たい あなたのしうち
それがうらめぬ あたしなの
霧笛一声 哀愁出船
つきぬ思い出 波に散る

そうよいつかは 判ってくれる
せめて儚い 空だのみ
別れおしんで 哀愁出船
涙堪えて みる潮路


31.関東春雨傘

作詞:米山正夫
作曲:米山正夫

関東一円 雨降るときは
さして行こうよ 蛇の目傘
どうせこっちは ぶん流し
エー エー…
エー 抜けるもんなら 抜いてみな
斬れるもんなら 斬ってみな
さあ さあ さあさあさあさあ
あとにゃ引かない 女伊達(だて)

花が散ります 桜の花が
太く短い 命なら
派手に行こうよ この啖呵(たんか)
エー エー…
エー 抜けるもんなら 抜いてみな
斬れるもんなら 斬ってみな
さあ さあ さあさあさあさあ
こわいものなし 女伊達

女だてらに朱鞘(しゅざや)を差して
罪でござんす ご時世が
やくざ渡世の 身の辛さ
エー エー…
エー 抜けるもんなら 抜いてみな
斬れるもんなら 斬ってみな
さあ さあ さあさあさあさあ
恋も知らない 女伊達


32.髪

作詞:中村メイコ
作曲:神津善行

覚えているかしら
私の髪が長いこと
指にからめた黒い糸
肩にながれた細い糸
今その長い髪に雨が降る
私は思うあなたがこの長い髪を
愛してくれたことを
ごめんなさい
あの日のケンカ
いけなかったのは私

気がつくかしら
私が髪を切ったこと
耳をくすぐる黒い糸
男の子みたいな首すじに
今その短い髪に風が吹く
私は思うあなたがこの短い髪を
愛してくれたらと
かえしてほしいの
あの日のキッス
淋しがってるのは私


33.柔

作詞:関沢新一
作曲:古賀政男

勝つと思うな 思えば負けよ
負けてもともと この胸の
奥に生きてる 柔の夢が
一生一度を
一生一度を 待っている

人は人なり のぞみもあるが
捨てて立つ瀬を 越えもする
せめて今宵は 人間らしく
恋の涙を
恋の涙を 噛みしめる

口で言うより 手の方が早い
馬鹿を相手の 時じゃない
行くも住(とま)るも 座るもふすも
柔一すじ
柔一すじ 夜が明ける


34.お島千太郎

作詞:石本美由起
作曲:古賀政男

花はさいても 他国の春は
どこか淋しい 山や川
旅の役者と 流れる雲は
風の吹きよで 泣けもする

「お島さん
もう若旦那と呼ぶのはよしてくんな
今の俺らは 檜屋の若旦那でも
千太郎でも ありゃしない
追手の目をくらます十蔵一座の旅役者
見よう見真似の俄か役者が
化けの皮をはがされずに
ここまで 逃げおうせたのは
お島さん
みんなお前さんのおかげだよ」

渡り鳥さえ 一緒に飛べる
連れがなければ 辛かろに
口でけなして こころでほめて
お島千太郎 旅すがた

「お島…… お前の真心は
誰よりも俺らが一番身にしみている
口には出して云わねえが
心の中じゃ 何時だって
手を合わせて礼を云っているんだ
こんなに苦しい思いをしながら
どうして俺らにつくしてくれるのかと
不思議に思う時もある
だが 故郷へ帰って 檜屋の看板をあげたら
その時はお島 旅芸人の足を洗って
俺らの世話女房に……」

人の心と 草鞋の紐は
解くも結ぶも 胸次第
苦労分けあう 旅空夜空
月も見とれる 夫婦笠


35.悲しい酒(セリフ入り)

作詞:石本美由起
作曲:古賀政男

ひとり酒場で 飲む酒は
別れ涙の 味がする
飲んで棄てたい 面影が
飲めばグラスに また浮かぶ

「ああ 別れた あとの心残りよ
未練なのね あの人の面影
淋しさを忘れるために
飲んでいるのに
酒は今夜も私を悲しくさせる
酒よどうして どうして
あの人を
あきらめたらいいの
あきらめたらいいの」

酒よこころが あるならば
胸の悩みを 消してくれ
酔えば悲しく なる酒を
飲んで泣くのも 恋のため

一人ぼっちが 好きだよと
言った心の 裏で泣く
好きで添えない 人の世を
泣いて怨んで 夜が更ける


36.芸道一代

作詞:西條八十
作曲:山本丈晴

いのち一筋 芸一筋で
勝つか負けるか やるだけやるさ
女黒髪 きりりとかんで
仰ぐおぼろの 仰ぐおぼろの
月の色 月の色

女一人で 生きぬくからは
ふまれけられは 覚悟の前よ
姿見せずに 泣くほととぎす
女心を 女心を
誰が知ろ 誰が知ろ

小粒ながらも ひばりの鳥は
泣いて元気で 青空のぼる
麦の畑の 小さな巣には
わたし見ている わたし見ている
母がある 母がある


37.真赤な太陽

作詞:吉岡治
作曲:原信夫

まっかに燃えた 太陽だから
真夏の海は 恋の季節なの
渚をはしる ふたりの髪に
せつなくなびく 甘い潮風よ
はげしい愛に 灼けた素肌は
燃えるこころ 恋のときめき
忘れず残すため
まっかに燃えた 太陽だから
真夏の海は 恋の季節なの

いつかは沈む 太陽だから
涙にぬれた 恋の季節なの
渚に消えた ふたりの恋に
砕ける波が 白く目にしみる
くちづけかわし 永遠を誓った
愛の孤独 海にながして
はげしく身をまかす

いつかは沈む 太陽だから
涙にぬれた 恋の季節なの
恋の季節なの…………


38.むらさきの夜明け

作詞:吉岡治
作曲:原信夫

はるかな空の 彼方から
夜明けが 今日も訪れる

ながれる雲を 追いながら
ほのかな愛を 告げるよに
見上げてごらん!
かなしみの淵に
むらさきの むらさきの
夜明けが やってくる
希望を つれた太陽が
あなたのために 昇るだろう

孤独をじっと 抱きしめて
はてない 道を一筋に
歩いてゆこう 風の中
今日より明日を 夢に見て
見上げてごらん!
かなしみの淵に
むらさきの むらさきの
夜明けが やってくる
しあわせ染めて 燃えるよな
夜明けの 空を仰ごうよ
夜明けの 空を仰ごうよ


39.人生一路

作詞:石本美由紀
作曲:かとう哲也

一度決めたら 二度とは変えぬ
これが自分の 生きる道
泣くな迷うな 苦しみ抜いて
人は望みを はたすのさ

雪の深さに 埋もれて耐えて
麦は芽を出す 春を待つ
生きる試練に 身をさらすとも
意地をつらぬく 人になれ

胸に根性の 炎を抱いて
決めたこの道 まっしぐら
明日にかけよう 人生一路
花は苦労の 風に咲け


40.ひばり仁義

作詞:石本美由起
作曲:市川昭介

「お見かけ通りの渡り鳥
私 生国と発しまするは関東
関東と言っても関東は
いささか広うございます
海の玄関横浜で
生まれた時から船の汽笛を
子守唄に聞いて育った私です」

ごめんなすって 皆々さまへ
切った仁義に 嘘はない
港 浜ッ子 ハマそだち
受けた情けは かならず返す
これが これが私の 人生さ

「袖すり合うもなにかの縁
以後お見知り置き願います」

義理の深さに くらべてみれば
海は浅いよ かもめ鳥
肌も鉄火な ハマそだち
時と場合じゃ 自分を捨てて
人を 人をたすける 楯となる

「逢えば別れる 人の常
あばよと 別れて行きましょう
未練は まっぴらごめんです」

丸い盃 笑って乾して
酒に誓った こころ意気
人情一輪 ハマそだち
賭けた勝負にゃ 死んでも勝つが
恋の 恋の涙も 知っている


41.ある女の詩

作詞:藤田まさと
作曲:井上かつお

雨の夜来て ひとり来て
わたしを相手に 呑んだ人
わたしの肩を そっと抱き
苦労したネと 言った人
あああなた 遠い遠い日の
わたしの あなたでした

生きる哀しさ 悦びを
わたしに教えて くれた人
グラスを置いて 手をとって
痩せた手だネと 泣いた人
ああ あなた 遠い遠い日の
わたしの あなたでした

俺の命は 君にやる
わたしに嘘を ついた人
死ぬほど好きと 言いながら
いつか遠くへ 消えた人
ああ あなた 遠い遠い日の
わたしの あなたでした


42.おまえに惚れた

作詞:たかたかし
作曲:徳久広司

俺にきめろよ まよわずに
言って振り向きゃ ついてくる
惚れた(惚れた) 惚れたよ
おまえに惚れた
肩を抱きよせ 眸(め)をのぞきゃ
頬に紅さす おまえに惚れた

あなた躰(からだ)に悪いわと
水でお酒を 割ってだす
惚れた(惚れた) 惚れたよ
おまえに惚れた
言葉づかいも 女房を
きどる今夜の おまえに惚れた

金じゃ幸せ 買えないと
俺を泣かせる 憎いやつ
惚れた(惚れた) 惚れたよ
おまえに惚れた
空を見上げりゃ 星ひとつ
そっと指さす おまえに惚れた


43.裏町酒場

作詞:さいとう大三
作曲:竜鉄也

雨にぬれてる 赤い灯が
俺にゃ似合いの 裏町酒場
泣いているのか あの唄も
酔えばおまえの 声になる
よせよいまさら ああ ひとり酒

肩を並べて 飲む夜が
俺とおまえの 幸せだった
夢を落とした盃を
そっと笑って飲んでいた
思い出すのさ ああ ひとり酒

いつかおまえと みちづれに
俺はなろうと 思ったものを
箸の袋に 別れ文字
書いて残して どこ行った
馬鹿な奴だよ ああ ひとり酒


44.人恋酒

作詞:たかたかし
作曲:徳久広司

人に教わる こともなく
いつかおぼえた 酒の味
生きてくつらさ 心の傷を
酔ってわすれる 裏通り
酒よ 今夜も
おまえと さしむかい

人に踏まれて 泣きもした
恋にいのちを 賭けもした
忘れたはずの 面影ひとつ
おもいださせる 通り雨
酒よ 今夜も
おまえと さしむかい

人が恋しく 飲む酒か
夢がほしくて 飲む酒か
沈むも浮くも 人の世ならば
悔いを残さず 歩きたい
酒よ 今夜も
おまえと さしむかい


45.残侠子守唄

作詞:たかたかし
作曲:弦哲也

今日日(きょうび)「寄らば大樹の陰」とかいう言葉が
巾をきかせているようでございます。
楽をしようとする心が、人間を
だめにするのじゃないでしょうか。

北の風吹きゃ北をむき
西の風吹きゃ西をむく
男の意地は どこにある
浮いた世間に 媚をうる
めだかみたいな奴ばかり

時の流れとでもいうのでしょうか。
自分さえよければという手合いが多すぎます。
まっとうに生きようとすればするほど
住みにくい世の中になったものでございます。

声の大きい奴だけが
勝って得する世の中さ
男の道は 暗すぎる
どちら向いても 闇ばかり
どこに実のなる花がある

どこもかしこも、
すっかり狂ってしまったようでございます。
と、申しましても、夜毎酒に溺れる私も、
決して、まともな人間じゃございません。

すねに傷持つこのおれにゃ
まぶしすぎます お日様が
男の酒の ほろ苦さ
明日は どの色咲こうとも
おれは生きたい おれの道


46.しのぶ

作詞:吉岡治
作曲:市川昭介

吐息まじりに 微笑(わら)った
頬に淋しい ほくろがひとつ
どこかおまえに 似ている
似ているようで
酔いにまかせて 抱きよせた
しのぶ… しのぶ…
小さな爪が ああ 背にいたい

不幸つづきの 運命(さだめ)が
痩せたおまえを なお細くする
なんでいまさら 旅路の
旅路のはてで
すてたおんなの 名をなぞる
しのぶ… しのぶ…
飲むほどにがい ああ こおり酒

おとぎばなしか 酒場は
酒のちからで 夢さえかなう
ふたり咲かせる 小さな
小さな春を
逢いに帰ろか あの路地へ
しのぶ… しのぶ…
さすらう町に ああ 冬の雨


47.愛燦燦

作詞:小椋佳
作曲:小椋佳

雨 潸々(さんさん)と この身に落ちて
わずかばかりの運の悪さを 恨んだりして
人は哀しい 哀しいものですね

それでも過去達は 優しく睫毛に憩う
人生って 不思議なものですね

風 散々(さんざん)と この身に荒れて
思いどおりにならない夢を 失くしたりして
人はかよわい かよわいものですね

それでも未来達は 人待ち顔して微笑む
人生って 嬉しいものですね

愛 燦々(さんさん)と この身に降って
心秘そかな嬉し涙を 流したりして
人はかわいい かわいいものですね

ああ 過去達は 優しく睫毛に憩う
人生って 不思議なものですね

ああ 未来達は 人待ち顔して微笑む
人生って 嬉しいものですね


48.好きなのさ

作詞:石本美由起
作曲:市川昭介

なんど逢っても だだの人
ひと眼だけでも 惚れる人
好きなのさ 好きなのさ
お前が好きなのさ
俺の心に 火をつけて
恋の命を 燃やす奴

涙しぐれの この世なら
つれが欲しいよ 道づれが
好きなのさ 好きなのさ
お前が好きなのさ
夜の寒さも 二人なら
夢を枕に 耐えられる

いつも素通り する春が
華を届けに きてくれる
好きなのさ 好きなのさ
お前が好きなのさ
俺の二度ない 人生を
そうだおまえに あずけよう


49.みだれ髪

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

髪のみだれに 手をやれば
赤い蹴出(けだ)しが 風に舞う
憎くや 恋しや 塩屋の岬
投げて届かぬ 想いの糸が
胸にからんで 涙をしぼる

すてたお方の しあわせを
祈る女の 性(さが)かなし
辛(つ)らや 重たや わが恋ながら
沖の瀬をゆく 底曳(そこび)き網(あみ)の
舟にのせたい この片情(かたなさ)け

春は二重(ふたえ)に 巻いた帯
三重(みえ)に巻いても 余(あま)る秋
暗(くら)や 涯てなや 塩屋の岬
見えぬ心を 照らしておくれ
ひとりぼっちに しないでおくれ


50.川の流れのように

作詞:秋元康
作曲:見岳章

知らず知らず 歩いて来た
細く長い この道
振り返れば 遥か遠く
故郷が見える
でこぼこ道や
曲がりくねった道
地図さえない
それもまた人生
ああ 川の流れのように
ゆるやかに
いくつも 時代は過ぎて
ああ 川の流れのように
とめどなく
空が黄昏に 染まるだけ

生きることは 旅すること
終わりのない この道
愛する人 そばに連れて
夢探しながら
雨に降られて
ぬかるんだ道でも
いつかは また
晴れる日が来るから
ああ 川の流れのように
おだやかに
この身を まかせていたい
ああ 川の流れのように
移りゆく
季節 雪どけを待ちながら

ああ 川の流れのように
おだやかに
この身を まかせていたい
ああ 川の流れのように
いつまでも
青いせせらぎを 聞きながら